【作品紹介】「希」/漢字の成り立ちと表現と

りくうの作品紹介

書道歴25年以上(師範資格あり、でもブランク期間もある)のわたくし、陸羽が書いた作品を紹介します。

漢字の成り立ちや、成り立ちを知った上でどのように作品で表現したか(書いたか)等、まとめております。

この記事では、以下のことを解説・紹介していきます。

・『希』は、細かく織られた珍しい布を表す。このことから、珍しく、まれなことを「こいねがう」、「のぞみ、ねがい」の意味を持つようになった。

・【作品解説】「ねがい」の意味を強調し、字はで力強さを表現しています。

りくう
りくう

よろしくお願いします‼︎

希 / 漢字の成り立ち

「爻」+「巾」が組み合わさってできた漢字

『希』という漢字は「こう+巾」の組み合わせで出来ています。

音読み:キ、ケ

訓読み:こいねが(う)、まれ

『希』という漢字には、「希有」や「希少」など「少ない、珍しい」といったまれの意味があります。また、「希望」や「希求」などの「ねがい、のぞみ、求める」など、こいねがう意味も持っています。

細かく織った布

「爻」は(糸の)細かい交わりを表し、「巾」は布を意味しています。

「爻」は織り方を表しているとも。それは薄く織られた「すかし織」のことで、珍しい生地なのだそうです。

この「爻」と「巾」の組み合わせで、「細かく交差して織った布」を表します。

稀(まれ)から願いへ

「細かく交差して織った布」や「すかし織の布」は珍しく、まれであったことから、その意味も持つようになりました。

珍しく、まれなことを「こいねがう」ことから、「のぞみ、ねがい」の意味を持つようになったようです。

「希」は、細かく織られた珍しい布

上記の成り立ちから、「希」は細かく織られた珍しい布だと分かりました。

そこから、「まれ」や「のぞみ」などに意味が広がって使われています。

作品について

布でいっぱいに

「希」は布に関係した字ということで、布でいっぱいにしました。我ながら単純です。

腰から足にあるひらひらの布は、五色にしました。お寺や神社などで見られる、五色幕を参考にしています。

五行思想に基づくもので、本来の色だと緑色は青色であり、紫色は黒色なのだそうです。

五行思想(ごぎょうしそう)または五行説(ごぎょうせつ)とは、古代中国に端を発する自然哲学の思想。万物は火・水・木・金・土(七曜の命令)の5種類の元素からなるという説である。

引用:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

鯉のぼりの吹流しや、七夕の短冊の色もこれに由来しているのだそう。どちらも様々な願いを込める行事です。「希」という字に近しい印象を受けたので、この五色をひらひらさせてみました。

文字について

書道用の毛筆で書いた字を合わせています。個人的に気に入っている柔毛の筆を使用。

イラストの色が濃い印象になったので、字も力強い勢いを出すようにしています。

力強さを出すために、楷書のかたちで、縦線の太さと角張りを強調しました。

楷書は行書・草書に比べ運筆の速さがゆっくりになります。丁寧な起筆(書き始め)、収筆(書き終り)で楷書らしさが出てます。小学校で習った、あの「トン・スー・トン」の流れです。

この字ではかたちは楷書にしましたが、起筆・収筆は「トン・スー・トン」には、あまりなっていませんね。勢いを少し優先させた筆の運びにしています。

「こうなったら良いのになぁ」という受け身の希望ではなく、明るく前進していくような意気込みの希望をイメージしております。

さいごに

まとめです。

・『希』は、細かく織られた珍しい布を表す。このことから、珍しく、まれなことを「こいねがう」、「のぞみ、ねがい」の意味を持つようになった。

・【作品解説】「ねがい」の意味を強調し、字はで力強さを表現しています。

制作中は色選びや、字の線の太さ等々を吟味したつもりでいました。ですが、改めてみるとその吟味したつもりの部分が、作品全体の印象を重くしている気がします…(;´Д`)

・・・・・勉強していきたいと思います。精進します。

それでは、以上で漢字の成り立ち説明と、作品の紹介は終わりです。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

※漢字の成り立ちについては諸説あります。