書道歴25年以上(師範資格あり、でもブランク期間もある)の私、陸羽が書いた作品を紹介します。
漢字の成り立ちや、成り立ちを知った上でどのように作品で表現したか(書いたか)等、まとめております。
この記事では、以下のことを解説・紹介していきます。
・【漢字の成り立ち】『翠』は、「混じり気のない羽」を持つ鳥を表す。
・【作品解説】イラストの人物は、女性的で祈るような様子にした。
よろしくお願いします‼︎
翠 / 漢字の成り立ち
「羽」+「卒」が組み合わさってできた漢字
『翠』という漢字は「羽+卒」の組み合わせで出来ています。
音読み:「スイ」
訓読み:「かわせみ」、「みどり」
鳥の名まえやその色を示した漢字です。
羽
羽は、鳥の両翼を表している象形文字。わかりやすいです。
卒
「翠」における「卒」というのは、調べてみると少し複雑さを感じました。なので、2つに分けて見ていきます。
1、「おわり」の意味を持つ
「卒」は、「衣」に「一」をつけた文字です。
「衣」の形は、衣服の襟元を表しています。そこに「一」をつけたしたことで、衣の襟を重ねて結びとめた形となりました。これは、死者に着せた衣の様子だそうです。衣を重ね合わせて、死者の霊が死体から出ないようにし、悪い霊が入ってこないようにしました。
そのことから、「卒」には「しぬ、おわる」などの意味を持つようになりました。
ここまでの説明だけだと、きれいで美しい鳥とは程遠く、
『不穏なかんじの鳥』ですね ^_^;
2、「卒」と「粹」
「卒」と「粹」は同じ意味を持つとされています。なので、「粹」についても触れてみます。
「粹」の略字は「粋」です。右部分の「卒」が略されると「九+十」になるのですね。
「粋」は「米(コメ)+卒(終わりの意味を持つ)」で成り立っています。これで、脱穀を終えた米(精米)には『混じり気がない』という意味になります。
ここで、「翠」の「卒」にも『混じり気がない』という意味を持ったようです。(※詳しい経緯は分かりませんでした。)
「翠」は、混じり気のない羽を持つ鳥
上記の成り立ちから、「翠」は『混じり気のない羽』を持つ鳥(=カワセミ)ということが分かりました。
カワセミを漢字で表記するときは「翡翠」とされますが、「翠」の一字だけでも充分に鳥の様子が表されていますね。ちなみに「翡」がオスで、「翠」がメスを指すのだそうです。
宝石のヒスイも、漢字で表記すると「翡翠」となります。日本では新潟県糸魚川市がその産地として有名です。
作品について
祈りのしぐさ、女性的
「翠」の漢字の成り立ちにある「卒」は、「衣」と関係があることがわかりました。その「衣」という漢字は『霊力』に関係した字でもあると調べているなかで知りました。また「卒」には『死者』との関係もあったので、イラストでは「霊を想う、感じようとする」姿にしました。
合掌のポーズも考えましたが、『死』に関しての、宗教的なニュアンスが強くなりそうだと感じたので不採用に。それよりも、「心に想ったとき、自然と手が組まれた様子」にした方が馴染みやすいかなと思い、このポーズとなりました。
それから「翠」はカワセミのメスを指すと知れたので、人物は女性的な雰囲気に寄せています。
文字について
書道用の毛筆で書いた字を合わせています。個人的に気に入っている柔毛の筆を使用。
「羽」の部分では、1画目では横線を太く、縦線を細くしています。4画目では1画目とは逆にして、横線を細くして縦線を太くしています。太さを変えることで、動きや勢いが感じられるようにしたかったのですが、どうでしょう?羽を大きく広げ、動かそうとしているイメージです。
「卒」部分では、9画目と11画目にスピード感を持たるようにしました。軽く引っ張って襟を正す様子を表現したかったためです。13画目の長い横線では太さに変化をつけ、真ん中が張って見えるようにしました。これは、帯などで強めに締めたイメージです。
さいごに
まとめです。
・【漢字の成り立ち】『翠』は、「混じり気のない羽」を持つ鳥を表す。
・【作品解説】イラストの人物は、女性的で祈るような様子にした。
『翠』に関連して調べてみると、鳥の翡翠(カワセミ)や宝石の翡翠(ヒスイ)などのもきれいな色の画像が多くあって楽しめました。けれども漢字の成り立ちを理解するのに時間がかかりました。
・・・奥深いです。
それでは、以上で漢字の成り立ち説明と、作品の紹介は終わりです。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
※漢字の成り立ちについては諸説あります。